昨年度と比較すると
危険度がより鮮明に

 売上高に対して、過大な在庫を抱える危うい会社を見抜くには、前回の「過大在庫が心配な会社ランキング、作り過ぎ?売れなさ過ぎ?【全388社完全版】」で紹介した、棚卸資産回転期間(単位は日数)のチェックが有効だった。

 これは、日商の何日分の在庫を抱えているかを意味するもので、365日÷棚卸資産回転率で算出した。棚卸資産回転率は、売上高を棚卸資産の期中平均で割って計算する。

 業種によってビジネスモデルが違うため、適正な在庫水準は業種によって異なることについても触れた。

 棚卸資産回転期間(2018年度)の上場企業全体の平均値は47日で、不動産は203日。医薬品は107日、小売業は37日、情報・通信は14日とまちまちだった。ちなみに、建設の平均を計算すると31日となった。

 在庫リスクの高い会社を探る際には、業種平均や同業他社との比較を意識するとよい。

 さて、今回は「過大在庫が心配な会社ランキング」の悪化度編である。時系列比較を駆使して、在庫リスクが高まっている会社をあぶり出してみたい。

 悪化度は、18年度の棚卸資産回転期間から17年度のそれを引いて算出した。増収に比べて在庫が積み上がるペースが速かったり、在庫が減らずに売り上げが急減していたりすれば、不良在庫の滞留による減損リスクが高まっている恐れがある。