特にお金や物が動く場合や、案件がうまくいかなければ損失が発生する場合などは、独断専行は許されない。

 ここでお伝えしている主体的な取り組みとは、上司に「どういたしましょうか?」と決定権を預け、その指示を待つのではなく、「案件がこういう状況ですので、次はこのように進めていきたいと考えております。よろしいでしょうか?」と「自らの考え」をきちんと明らかにした上で、「上司の判断を得る」という取り組み方だ。

 このような一言でも、皆様が周囲に与える印象は、「指示待ちの社員」とは全く違う。周囲は皆様の能力の高さを感じたり、皆様が主体的に仕事に取り組んでくれていると認識する。

 また、主体的な仕事の取り組み方は企業の大きさによらず、必要とされる取り組み方である。

「主体性」とは
好き勝手に振る舞うことではない

 社員が1000人以上の大企業では、業務・タスク・責任・人員が細分化されている上、企業文化として「まずは任された仕事を完璧にこなす」という考え方が主流だ(これ以外の考え方の大企業になかなかお目にかかったことがないというのも事実である)。

 そうしなければ企業としての統治(ガバナンス)が難しくなるので、社員に「好き勝手」に振る舞われては困るというのが大企業の裏事情だ。

 今、この激変するビジネス環境に最適なタイミングで最適に対応しようとするなら、現場の担当者が現場の判断として「このように進めていきたいと考えていますが、よろしいでしょうか?」という主体性を持ち、きちんと責任を取る覚悟を決め、課題を解決する具体策をセットにして速やかに上司に諮る必要がある。

 企業としてもそのような社員に必要な権限を持たせ、現場で起こったことを現場で速やかに対応させる仕組みを作ることができれば、現場に即した打ち手をいち早く打てるようになるため、ビジネスで競合他社を一層リードすることができるかもしれない。

 今、現場に責任と権限を委譲できている大企業が少ないのは、皆他社の動きをうかがい、様子を見て、「二の足」を踏んでいるからだ。つまり、自ら第一歩を踏み出せていないのだ。