すっぴんの美しさよりも
「盛り」の努力を認めてほしい

 久保氏によると、盛りには、大きく3つの技術分野が関与しているという。

 第一は、ブログやSNSのようなインターネット上のコミュニケーション技術。第二は、自分を撮影して加工する、デジタルカメラ技術やデジタル画像処理技術。第三は、つけまつげやカラーコンタクトレンズなど生体を模倣するプラスチック成形技術だ。

 この3つの技術分野を「ソーシャルステージ」「セルフィーマシン」「プラスチックコスメ」と名付けて、あわせて「シンデレラテクノロジー」と久保氏は定義している。

 そして、現在の女の子たちの「盛り」の主戦場は、このシンデレラテクノロジーを駆使したインスタグラムだ。

「女の子たちは、『まねをされたい』願望がとても強い。『いいね』の数よりも、写真を『保存される』数をすごく気にします。この数を知るために、インスタグラムが公式に提供している分析ツール“インサイト”を使っている子も少なくありません。承認欲求といっても、『みんなに私のことを認めてもらいたい』というような感じではない。それよりも多くの人に発信することで、どこかにいる『私のことを認めてくれる』人とか『私と同じ感覚、世界観を持っている』人を探しているようです」

 女の子たちにとって「盛り」とは、かわいく見せることが大前提ではあるものの、美意識を共有できる友達探しやコミュニティーづくりのためのコミュニケーション手段のようだ。

 また、根源的にこの「盛り」は、日本の伝統文化も関係しているのではないかと、久保氏は指摘する。

「やはり、日本人に根強い、ものづくりの精神も深く関わっていると思っています。たとえば、フランスの女性は、加工しない、ナチュラルなままの自分に、もっと執着があると聞きます。しかし、日本の女の子に話を聞くと、すっぴんを褒められるよりも『盛り』の努力を褒めてくれる方がうれしいと話す子が多い。ものづくりの努力を評価し合うのです。日本の女の子たちは、『自分らしくありたい』と言いますが、最初から個性を表現するのではなく、まずは型を『守』り、それができたら『破』って個性を表し、さらに、それができたら『離』れて新しい型を作り、多くの人にまねされることを求めるという『守破離』の美意識があるように感じられます」