“SNOW”に代表されるような加工アプリを使いこなすのは、一般的に若い女性のトレンドと認識されている。しかし中には、「おじさん」と呼ばれる年代の男性の中にも、加工アプリで自画撮りを「盛る」ことにハマった人たちがいる。彼らが考える、その魅力とは。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
誰でも簡単に編集
顔加工アプリの強み
若い世代ではSNSに自撮りや友人と写った画像を当たり前のようにアップする風潮がある。それら画像を見てみると、素のまま(元データのまま)上げられているものはほとんどなくて、どれも何かしらの加工が施されている。
このトレンドを支えているのが“SNOW”に代表される人の顔を加工するアプリの存在である。顔加工アプリは、画像データを素人でも「いい感じ」に編集することができる優れもので、肌の質感をキレイに見せたり、黒目を大きくしたり、鼻をイラストで描かれた犬の鼻に置き換えて頬に猫ヒゲを生やすといった操作をいとも簡単に行える。
ゲームセンターにプリクラが登場して以来、プリクラも日進月歩で進化していった。仕上がって出てきた写真の、自動的に編集された巨大すぎる黒目などは、筆者を含めた中年男性からすると不気味以外の何物でもない“恐怖写真”なのだが、どうやら若い世代にとってはそんなことないらしく、「大きい黒目」志向はプリクラのスタンダードとなってしばらく続いているようである。
顔加工アプリは、スマホさえあればわざわざプリクラを使わなくても自分や友人の加工顔を楽しめ、容姿に自信がない人や、実際は十人並みだけど本人は己を魅力的だと思いたい人などの顔をそれなりのレベルに引き上げてくれる。しかもスマホだから加工した画像をSNSで即共有することができる。主に容姿がらみの自意識の葛藤が激しい多感な10代に、顔加工アプリは大歓迎で受け入れられた。