中国の債務圧縮、景気悪化で幕切れにPhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国政府は否定しているが、同国が国内経済(および世界経済)の成長にアクセルを踏み込む可能性は相当高い。

 中国の労働市場は悪化し、輸出は落ち込み、生産者物価は下落に転じる恐れがある。中国人民銀行(中央銀行)は今すぐ債務拡大に転じることはないとはねつけるが、投資家はその言葉を極めて懐疑的に受け止めるべきだ。

 1-3月期の名目GDP(国内総生産)の伸びは7.8%と、すでに債務残高の総額を示す人民銀の指標の伸びを下回っている。中国経済はいまも弱り続けている。貿易交渉で野心的なディールが成立しなければ、中国の「デレバレッジ(過剰債務の圧縮)」キャンペーンは当分の間、棚上げされそうだ。

 国家統計局が30日に発表した6月の製造業購買担当者指数(PMI)はほぼどの数字も弱かった。雇用は10年ぶりの急速なペースで落ち込んだ。新規受注と生産量はいずれも悪化した。

 現時点で本当に悪くみえるのは、名目成長率だ。これは企業の収益と債務返済にとって重要となる。原材料費も前月比で下がったが、こちらの落ち込みが小幅にとどまったことは利益率の悪化を示唆する。さらに、販売価格を押し上げるための生産停止は(過剰生産能力解消のため中国が2016~17年に行ったことだが)、数年ぶり水準に悪化した雇用市場を考えるとリスクが高い。

 2018年終盤と同じく、生産者価格押し下げの一因となっているのは直近の世界的な原油安だ。だが今回の低調さはより根本的な問題に思われる。過去2カ月、中国のPMIは生産量が新規受注を上回り、その差は2016年以降で最大に開いている。また、鉄鋼など一部の主要工業製品の生産量は、不動産投資よりも急速に伸びている。不動産投資は工業需要の主な指標となる。

 これらすべてが、現水準の生産量を吸収するには需要があまりにも弱いとのシグナルを発している。中国政府が追加刺激策によって経済を活性化しない限り、あるいはグローバル市場に過剰在庫を放出しない限り、物価は一段と下落するだろう。デフレを引き金とする企業債務危機が再び起きるのは中国政府が最も望まないことであり、金融緩和策が講じられるのは時間の問題とみられる。

 中国政府は、自国の経済成長にとって最大の長期的脅威は国内債務問題だと理解している。仮に外的圧力で状況が改善すれば、将来的には債務管理に再びかじを切るかもしれない。だがその間はひたすら火消しに追われ、金融政策のホースから注ぐ水を増やす――そして再び債務が拡大する――しかないのだ。

(The Wall Street Journal/Nathaniel Taplin)