――筆者のジェラルド・ベーカーはWSJ前編集局長で、現在はエディター・アット・ラージ ***  ドナルド・トランプ米大統領は、心の奥底では平和主義者なのだろうか。  2年前であれば、そのような質問をするだけで冷笑を買っただろう。大統領就任から半年後にはほぼ全世界が、トランプ氏は米国流早撃ちガンマンそのもので、核兵器によるアルマゲドン(この世を破滅させる大戦争)にわれわれ全てを引きずり込みつつあると思っていた。欧州では冷戦絡みの冗談もあったように、米国が先の2度の世界大戦に乗り遅れた分を取り戻そうと、大統領は3度目の大戦に先回りしていると語られたものだ。