ドナルド・トランプ米大統領は、心の奥底では平和主義者なのだろうか。2年前であれば、そのような質問をするだけで冷笑を買っただろう。大統領就任から半年後にはほぼ全世界が、トランプ氏は米国流早撃ちガンマンそのもので、核兵器によるアルマゲドン(この世を破滅させる大戦争)にわれわれ全てを引きずり込みつつあると思っていた。欧州では冷戦絡みの冗談もあったように、米国が先の2度の世界大戦に乗り遅れた分を取り戻そうと、大統領は3度目の大戦に先回りしていると語られたものだ。トランプ氏は北朝鮮に「炎と怒り」が降り注ぐと威嚇。2015年のイラン核合意から脱退し、米国がイランの核兵器保有を容認することはないと厳しい語調で警告した。就任から数カ月後にはシリアを空爆している。ここ1年ほど、米国がベネズエラ侵攻を計画しているとするホワイトハウスを取り巻くうわさも絶えなかった。しかもトランプ氏は、地球の半分に対して貿易戦争を仕掛けている。