千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から「謎の病気」で悩む患者がやってくる。生坂医師はどんな診断を行っているのか、取材してみた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
「腕が緑色になる」は
重篤な疾患の関連痛だった
「どこの病院で診てもらっても診断がつかない」あるいは「何をやっても治らない。私は本当に○○病なのか」など、千葉大学医学部付属病院・総合診療科の生坂政臣医師のもとには、全国から“謎の病気”に苦しむ患者がやってくる。
地域の大学病院から紹介状を携えてやってくる患者の症状はじつに多種多彩で、ありとあらゆる症状を診てきている生坂医師をしても驚かされることがある。
「腕が緑色になる」――。
そう訴えて来院した40代男性会社員の場合もそうだった。
◎ケース1
生坂:「右腕がしびれる、重い」から始まって、「なんだか緑色になるような気がする」と言うんです。これは精神科領域の患者さんかもしれないと疑いました。でも、緑色になるのは、いつもではないんですね。食後とか運動した後になるという。つまり、心臓に負担がかかった後に、症状が起きている。ということは、狭心症かもしれないと推察し、検査してみるとやはりそうでした。
腕のしびれも、重いのも、緑色になるような気がするのもすべて、関連痛だったわけです。