徐々に悪化する立ちくらみ
動悸や頭痛もひどい
異変は突然襲ってきた。
歩行中、篤子さん(仮名・45歳)はいきなり目の前の風景がぐらりと傾いたように感じ、その場にしゃがみ込んだ。めまいだった。
(疲れているのかな)
驚いたが、めまいはすぐに収まり、普通に立ち上がることもできたのでそのまま帰宅した。
だが翌朝、いつもの時間に起き上がると、平衡感覚がおかしくて、危うく転倒しそうになった。
(これって、貧血、それとも低血圧?こんなの初めて)
布団にあおむけになり、天井を見つめたまま思考を巡らすが、のんびりしている余裕はない。今度は横を向き、両手をついて少しずつ腕を伸ばし、慎重に立ち上がる。大丈夫だった。
そして翌朝も、その翌朝も、まともに起き上がれない症状は続いた。しかもだんだんひどくなる。起き上がれないときには心臓がどきどきして、胸が苦しい。起き上がって行動できても、しょっちゅうふらつく感じがする。肩がハンガーにでもなってしまったように硬くなり、痛い。頭痛もする。常に疲れている感じがして、何をするのもおっくうになってきた。
尋常じゃないと思った篤子さんは、夫の晋平さん(仮名・43歳)に付き添われ、大きな病院を受診した。