しかし、である。ビニール傘やコンビニで買える安価な傘に慣れてしまったせいか、何度もなくしたことがあるトラウマから、「高価な傘を買ってもなくしてしまうのではないか」と臆病になり、筆者はいまだその解決策を実行したことがない。

 ある女性に聞くと、「忘れることを防ぐため、高価でおしゃれな傘を買ったが、忘れるのが怖くて、なかなか使えないでいる」そうだ。せっかく買っても、実際に使うことができなくては意味がない。なんとも、ややこしい難儀な問題である。

 とはいえ、大量の傘が置き忘れられて廃棄されている現状は、資源の無駄遣いだし、対応する人の労力や人件費もかかる。一部では、シェアリングサービスも始まっているようだが、もともと傘を置き忘れやすい日本人には適した視点かもしれない。

課題先進国として、傘にイノベーションを!

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 あとは、電子チップなどを利用して、傘を忘れてその場から一定距離離れたらブザーがなったり、忘れた場所が位置情報でわかったり、誰のものかチップのデータから照会できるようにする、という手もある。それだけでは、購買意欲が湧かないから、血圧を測れたり、運動量がわかったりする機能もつけてみてはどうか。当然、値段は高価になるはずだし、運動量などが記録されていれば、なくすのが惜しくなる。

 考えてみれば、傘には長い歴史があるのにもかかわらず、形状も含めて大きなイノベーションが起きていないようにも思える。これだけ傘を忘れ、消費する日本だからこそ「課題先進国」としての自負を持ち、知恵を持ち寄って解決を目指したらどうか。

 当連載についてご意見がある方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。すべてには返信できないが、必ず目を通したいと思う。

(フリーライター 宮崎智之)