われわれは、際限なく繰り返される独裁的政府による圧政のニュースを目にし続けている。しかし、自由主義の悲観論者たちは、香港市民の力を読み違えていた。犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例改正案に反対して、香港では連日、抗議行動が続いた。こうした抗議行動は勝ち目がほとんどないとみられていたにもかかわらず、香港政府は同案の撤回に追い込まれた。香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は9日、同案は「死んだ」と発言、同案を復活させる考えのないことを明らかにした。これは、たぐいまれな成果と言える。香港市民たちが街頭に繰り出す前は、条例改正案の成立が不可避に見えていた。それは政府に批判的な香港人を追い詰める、つまり、彼らを逮捕して中国本土に連行し、裁判と処罰を受けさせる力を中国に与えるはずのものだった。デモに参加した何百万人の人々は、この条例改正案が、政治的性格を帯びた中国の裁判に対し、香港の法的保護を失わせる意味を持つはずだと理解していた。
【社説】香港流ピープルパワーの勝利
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