死体遺棄のケースワーカーが生活保護受給者の「パシリ」と化した理由
生活保護受給者がケースワーカーに支配されることはありそうだが、その逆のパターンはあり得るのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

受給者の犯罪に
巻き込まれたケースワーカー

 6月12日、京都府向日市で、生活保護ケースワーカー・Y氏(29歳)が死体遺棄の疑いで逮捕された。本記事では、発覚から1ヵ月の節目に、この事件の背景を掘り下げる。

 Y氏への容疑の内容は、「担当していた男性受給者(55歳)が交際相手の女性を殴って死なせてしまい、その遺体を隠すことに協力した」というものだった。特筆すべき点は、暴力的な受給者に支配され服従させられていたことだ。

 ケースワーカーは、受給者に求められるまま、犯罪の隠蔽に協力してしまい、逮捕された。ケースワーカー『が』受給者『を』支配するというケースは、事件として明らかにされるごく一部を含めて、世の中にありふれている。しかし「ケースワーカー『を』受給者『が』支配する」というケースは、極めて珍しい。

 そのためか、事件そのものは詳細に報道されており、発覚からちょうど1ヵ月後の現在も、新事実が明らかになるたびに報道が続いている。しかし、謎はいまだに多い。いずれにしても、全貌が明らかになるためには、警察の捜査や公判、そして向日市による調査を待つ必要があるだろう。

 とりあえず、私が最初に気になったのは、生活保護とケースワーク業務に関する向日市の関心だ。向日市は6月12日当日、市長名で「職員の逮捕について」という文書を公表し、同時に記者会見を行った。

 とはいえ、文書は「市民の皆様に多大なご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び」「職員を信頼しておりますが、事件の真相究明や早期解決に向けて、警察の捜査には全面的に協力」「市民の皆様の信頼回復ができますよう、職員一同全力を尽くし」という定型文が並ぶ、あっさりした内容だ。事件の内容が、まだほとんど明らかになっていなかった時点ではある。しかし、あまりの「あっさり」ぶりが、私はどうしても気になる。