これ以上、生きていけない。そう思い詰めて、遺書を書き終えた著者を引きとめたのは、保険の勧誘の電話だった。明るく陽気に保険を勧める声で我に返ったのである。そして、自分がいかに無神経であり、自分のつらさで頭がいっぱいになっていたかに気づいたのだ。

 鬱状態を乗り越えた著者は、新しい自分が生まれたことを実感した。誰にも邪魔されず、罪悪感もなく、自由に幸せを感じていい。自分を憎んだり、苦しんだりすることをやめて、ようやく本当に自分を愛せるようになったのだ。

◇ありのままの自分を受け入れる

 どん底から立ち直った著者は、看取った患者たちの後悔を聞いた経験から、いつ人生が終わっても後悔しないように生きる決意をしていた。

 終末期の患者は、人生を振り返る時間を与えられた人たちだ。たしかに、死が迫るにつれ、否定、恐怖、怒り、後悔、自己否定などの感情を経験する人は多かった。だが、最期の数日間は、心に浮かんだ思い出に愛情や喜びをかみしめていた。そして、後悔の原因を作った自分を許し、穏やかな気持ちになっていったのだ。

 もし、不慮の事故などで突然亡くなった場合、心の平安を見つける時間はないかもしれない。そうなると後悔しながら人生を終えることも考えられる。

 だからこそ、今のうちに自分の人生について改めて考えてみることが大事になってくる。間違ったやり方で幸せを追い求め、手遅れにならないためにも、自分の心のままに生きる強さを持つべきだ。そうすれば、他人にも自分にも優しくなれるし、人生を変えるための力を見出せる。

 人生はあっという間に過ぎていく。正しい人生を歩み、人生を目一杯生きるには勇気が必要だ。自分に与えられたすべての幸運に感謝することが、残された時間を大切に生きることにつながる。