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JRグループは12月12日、2026年3月ダイヤ改正を発表した。今年3月の改正に引き続き、列車の増発、速達性向上を中心とした前向きな内容となった印象だが、特に驚いたのが東海道新幹線だ。「のぞみ」の運行本数を、最大で1時間あたり12本から13本へと拡大する。すでに限界とも思われた“壁”をいかにして乗り越えたのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
東海道新幹線のぞみが
最大1時間13本に
東海道新幹線の利用はコロナ禍後、比較的順調に回復してきたが、2024年度下期から増加のスピードが増している。東京口(全列車)の2018年度同期比輸送量は2024年11月以降、同100%の水準に戻っていたが、5・6月は同108%、9月は同112%に達しており、4月から12月10日までの累計で同108%となった。
特に「のぞみ」が好調で、9月は同119%、10月は同117%で、累計で同113%だ。「のぞみ」難民が流れているのか、回復が遅れていた「ひかり」も累計で同99%を記録。「こだま」は累計で同92%ながら、前年同期比6%増と上向いている。
東海道新幹線はビジネス需要が支えていた。ところが、コロナ禍による出張の縮小やオンラインミーティングの普及が影響し、2023年度の平日輸送量は2018年度同期比で88%の水準にとどまった。一方、土休日はコロナ前を上回り、観光利用へのシフトが進んだ。
2024年度は平日が同93%、土休日が同105%の水準だったが、2025年5月以降は平日も同100%を超えており、累計で同103%、土休日はさらに伸びて同117%に達している。こうなるとコロナ禍での苦労はどこへやら、時間帯によっては列車の予約が困難になるなど、深刻な輸送力不足に直面している。
そこでJR東海はダイヤ改正で、繁忙期の東京駅下り7~10時台、新大阪駅上り14~17時台で「のぞみ」を増発し、1時間あたり最大13本の運転を実施。早朝・深夜時間帯や、山陽新幹線と直通する臨時「のぞみ」の設定など、現有設備を最大限活用した輸送力増強とサービス向上を実施する。







