前回に続き、コンサルティングレポートの第2回をお届けする。なかなか営業成績が上向かないスズキ電機工業。社長との偶然の出会いから、全6回の「リーダー育成プログラム」を行なうことに決まったが、4回目で早くも軌道修正を迫られた。各営業所のリーダーは、リーダーの仕事、つまり部下のマネジメントを行なう時間がそもそも取れていないのだ。これでは、リーダー研修をやっても意味はない。さらに営業現場の様子を見ていくと、それぞれが忙しすぎて、新規営業先の開拓にも時間が取れていないことが分かった。スズキ電機工業は、法人向け電機製品を取り扱う商社で、成熟市場で激しいシェア争いを繰り広げている。飽和市場、成熟市場ということは、すなわち新規顧客の獲得ができなければ、成績は上向かない。筆者は、「リーダー育成」よりも、「新規開拓力の向上」に着目した。

新規顧客開拓が進まない
真の理由を解明する

 スズキ電機工業の業績低迷の要因として、「新規開拓力の低下」は明らかだった。事実、ほとんどの営業所が目標として掲げている新規開拓件数を大きく下回っているような状況に陥っていた。

 よって、鈴木社長に対して新たに提案したのは、「まずひとつの営業所に絞り込んで新規開拓の成功パターンを構築し、それを他の営業所に水平展開していく」というものだった。

 すると、鈴木社長は心配そうにこんな質問を返してきた。

 鈴木社長:「確かに新規開拓は大きな課題で、ここ数年は我が社に限らず、業界他社も非常に悩んでいるところだと思う。そういう意味では、成功パターンを作るといってもなかなか容易ではない気がするんだけど、何か妙案を持っているのかな?」

 筆者:「今のところ、コレという解決策を持っているわけではありません。しかし、現場を回らせていただいた結果、想定している問題は2つあります。1点目は、時間配分についてです。新規開拓強化と言いながらも、多くの営業マンは新規開拓に時間を振り向けていない可能性が高いようなので、活動実態を明らかにしなければならないと思っています。

 2点目は、ターゲティングです。新規ターゲットリストを作成しているようですが、営業マンの意識はそのうちどこかが開拓できればラッキーという感じに見えました。このあたりの計画と実行度合いも最初に確認すべきところです」

 そもそも新規開拓にかける時間が不足している営業マンと、それなりに活動してはいるものの結果に繋がっていない営業マンに分かれていたので、その原因を突き止めたいという意味でこのように答えた。