社員からの有休の申し出に「うちに有休なんてない!」は通用するのか社員からの有休の申し出に対し、会社が拒否した場合、パワハラになることはあるのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

整骨院で働くAは休日にリフレッシュしようとキャンプに出かけるようになった。次第に「最低3~4泊はしたい」「昔のようにキャンプ場に行きたい」との気持ちが抑えられなくなる。そこで友人に相談すると、「有休をとればいいじゃん」と言われ、翌日、社長に相談するも人手不足の事情から却下される。すると、Aは「有休拒否とパワハラで労働基準監督署に通報する」と社長に詰め寄る。驚いた社長は社労士に相談するが…。(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
 整骨院を展開しており、店舗は乙店のほかに4ヵ所ある。従業員数はアルバイトを含め30名。会社の業績はいいが、激務とB社長のワンマンぶりが原因で従業員の定着率が悪い。そのため通年で新規スタッフを募集しているが、人手不足が常態化している。
<登場人物>
A:28歳。大学卒業後一般企業に勤めていたが、腰を痛め通っていた整骨院で治療を受けるうちに、その仕事に興味を持つように。そして、会社退職後、専門学校に通って国家資格を取得した。甲社には3年前に入社、乙店に勤務し現在サブマネージャーを務める。キャンプが趣味。週末が休みの友人たちとは予定が合わず、今年の春からソロキャンプにハマっている。
B社長:35歳。乙店のマネージャーを兼務。会社の売上増が生きがいのため、人使いが荒く思い通りにならないとスタッフに罵声を浴びせる。「きちんと給料さえ払えば何をしてもいい」という考えの持ち主で、スタッフからの評判はよくない。
C:28歳。Aの学生時代からの友人でかつてのキャンプ仲間。現在は一般企業の総務部に所属している。仕事柄、法律には詳しい。
D社労士:甲社の顧問社労士。

芸能人のキャンプ動画を見たことがきっかけで
休みのたびにキャンプ場へ出かけるようになる

「へぇ、ソロキャンプか。面白そうだな」

 4月のある日のこと。Aは休日に何気なくネットサーフィンをしていると、ある芸能人のソロキャンプ動画に目が留まった。