芸人との関係があいまいでは
反社チェックも徹底できない

――「クビにする」など、宮迫・田村氏が圧力と受け取った言葉を「冗談だった」と説明した。

 今回のように深刻な局面で、相手の生殺与奪を握っている立場として、こんなことが冗談で言えるはずがない。説明として、世の中にはまったく通じない。ほかに言いようがなかったのだろうが、冷笑しか誘わない発言だ。

――吉本では過去にも、反社会的勢力との繋がりによる不祥事が起こっている。なぜ頻発するのか。防止するにはどうしたらいいのか。

 チェックをしているというが、実際にはチェックしきれない状態なのだろう。普通の企業の視点でいえば、この10年で反社会的勢力とのあらゆる契約関係を断つことが要求されるようになった。吉本も自社が直接契約する相手に対してはチェックしていたようだ。だが、芸人の取引先や交際関係については、芸人と会社の間の契約関係があいまいなのだから、完全にチェックしきれるわけがない。

 芸人の立場・権利を守るという観点だけでなく、反社問題の対策としても、芸人との契約関係を明確にする必要があるのだ。

――岡本社長ら経営陣はどう責任を負うべきか。

 経営として負うべき責任は、報酬の返上でも、進退を決めることでもない。これまで、なあなあで当然、阿吽の呼吸のもとにあいまいにしてきた芸人との契約関係を、きちんと見直すと宣言することが、今回は必要不可欠だった。

 吉本は10年ほど前に上場廃止したが、非上場企業になれば何をしてもよい、などということはまったくない。芸能業界に対して大きな影響力があるばかりか、その舞台に首相が登壇するほどの企業である。そういった企業には当然ながら経営の公正性、透明性が要求されるのだが、そういう意識が吉本の経営陣には根本的に欠けているのではないか。