ジョンソン氏の家族は親EU派、ブレグジットで亀裂Photo:Reuters

【ロンドン】英国の欧州連合(EU)離脱の支持者として最も注目を浴び、次期首相に就任するボリス・ジョンソン前外相は、EU離脱に乗り気でない人々に囲まれている。気まずいことに、それはジョンソン氏自身の家族だ。

 3年前の国民投票で英国のEU離脱(ブレグジット)が決定して以来、ジョンソン氏は離脱反対を唱える自らの一族に悩まされてきた。妹はEU残留を訴え、テレビでトップレスになってみせた。一番下の弟はブレグジットの進行を阻止するために政府高官を辞任した。

 ジョンソン氏に理解を示している父親のスタンレー氏さえ反対に回り、推理小説「Kompromat(仮訳:コンプロマート=不都合な情報)」を執筆。架空の話ではあるが、EU離脱の是非を問う国民投票へ向かうまでの政治の闇を描いた。

 24日に英首相に就任するジョンソン氏のアドバイザーたちは、ブレグジットの賛成派と反対派の両方が混在することになる。とはいえジョンソン氏は、何年も前から議会の取り巻きがほとんどいない政界の一匹おおかみとして知られている。5年前に同氏の50歳の誕生パーティーに出席したある人物は、政治家がほとんどいなかったのに驚いたという。

 家族とは親密な関係を保ち、23日に保守党党首に選出された際には家族のうち3人がジョンソン氏の後ろに座っていた。EU離脱期限が10月末に迫る中、一家の争いは表向き、これ以上ないほど英国的に扱われてきた。生ぬるいジョークを使い、ほとんど避けて通るというやり方で。

 父親のスタンレー氏(78)は23日の新党首発表の前にブレグジットを巡る葛藤について質問され、「今はその話はしたくない」と答えた。