こんにちは、「電子書籍フォーキャスター/World Business Trend Tracker」の吉田克己です。恒例の? 電子書籍マーケットの将来予測(フォーキャスト)をお届けします。今回は、主要プレーヤーの最新動向を交えながら、どちらかというと周辺部、裏方のプレーヤーの動向を見ていきたいと思います。
脱・専用端末路線へ舵を切った日本勢と
「近日発売」のまま、まだ来ぬアマゾン
この原稿を書きはじめる4日ほど前、アマゾンが電子書籍端末「Kindle(キンドル)」を近日日本国内で発売すると発表したとのニュースが流れました。
●アマゾンジャパン「キンドル」日本発売をサイトで予告(2012.06.26)
●アマゾンと楽天、電子書籍端末発売へ 国内市場、活気づくか(2012.06.28)
前々から、年内と言われていただけに、一次報道はあっさりとしたものでしたが、上の記事では比較的詳しく解説されています(「近日」が、具体的にいつなのかは相変わらず不透明ですが)。
一方、楽天も――上の記事でも触れられていますが――アマゾンの発表に先立つこと数日、買収したカナダ企業製の端末「コボタッチ」を7月下旬に発売することを正式に発表しています。
●楽天、電子書籍端末を7月発売 カナダ社の製品(2012.6.21)
●楽天、電子書籍端末を7月発売 アマゾンに先行(2012.6.21)
多少うがった見方をすれば、楽天が7月下旬からの販売を決めたことに、アマゾンが先行させまいとして、慌てて「近日発売」を発表したとも取れます。しかしながら、「コボタッチ」の注文受付はすでに7月2日から開始されましたので、発売時期では楽天が完全に先行したといえます。
しかも、「コボタッチ」はデータ形式として、最も世界標準に近い「e-Pub」形式を全面採用していますので、後々、この点が大きく利いてくる気がします。