ソフトバンクグループ米司法省はスプリントとTモバイルの合併を承認 Photo:Reuters

 米司法省は26日、Tモバイルとスプリントの合併をようやく承認した。米通信業界の二大巨頭、ベライゾンとAT&Tに対抗しうる第3極が誕生することになる。残念なのはあまりに長い時間を要したこと、そして司法省が資産売却などの複雑な条件を付けて、実力のない即席の4番手を作ろうとしたことだ。

 投資家は今回の承認を好感。26日にTモバイル株は5.43%高、スプリント株は7.46%高となった。一方、衛星放送大手ディッシュ・ネットワークの株価は0.87%高と反応薄だった。承認の条件として、ディッシュにスプリントのプリペイド携帯電話事業が売却されるほか、合併後の両社の通信網に7年間アクセスできるようになる。だが市場はディッシュが恐らく、司法省反トラスト局の主張する手ごわい競合相手にはならないとみている。

 司法省はディッシュのチャーリー・アーゲン会長に助け船を出した。同社は無線周波数帯を大量に取得したものの、活用しなければライセンスを失うリスクがある。合併への反対を表明していたアーゲン氏は、スプリントのプリペイド顧客を割安な価格で取得し、Tモバイル・スプリントの計2万カ所の通信基地局および両社の店舗網へのアクセスを手に入れるチャンスを狙っていた。ただ、ディッシュには無線通信ネットワーク事業の経験がない。ビッグ3が次世代通信規格「5G」の主導権争いにしのぎを削る中、同社はネットワーク構築に何年も費やすことになるだろう。

 マカン・デラヒム反トラスト局長は、Tモバイルとスプリントの合併差し止めを求めて提訴した全米10の自治体をなだめるため、4番目の携帯通信会社を作る必要があると判断したのだろう。司法省は、民主党勢力の起こした訴訟に加わらなかった5人の共和党系の州司法長官を味方に引き入れた。だが民主党系の州司法長官は法廷闘争をあきらめておらず、ディッシュへの資産売却に軽蔑の言葉を浴びせている。

 われわれは全米通信労組(CWA)の考えには同意できないことが多い。だが同労組が「反トラストは法執行の手段であり、(4番手を作ろうとするなど)政府にキングメーカーの役割を与えるものではない」と指摘したのは正しい。CWAはベライゾンとAT&Tの労働者を代表しており、Tモバイルとスプリントの合併によって競争が激化するのを望んでいない。

 しかし、強い3番手の誕生は消費者にとっても米国の5G展開にとってもよいことだ。合併が実現すれば、ベライゾン・AT&T両社はコンテンツ目的でタイム・ワーナーなどの買収に手を出すよりも、5Gに集中せざるを得なくなるはずだ。強い3社が競争することは二大巨頭がいる状況より望ましい。

(The Wall Street Journal/The Editorial Board)