『ばけばけ』第64回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第64回(2025年12月25日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
一触即発、銀二郎を「布団」呼ばわりするヘブン
「彼は誰?」
ヘブン(トミー・バストウ)はイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)に、突然鉢合わせしたトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)ともうひとりを紹介しようとしたが、銀二郎(寛一郎)の詳細がわからない。
錦織(吉沢亮)が「銀二郎君です」と伝える。
ヘブンは銀二郎を見て「布団」と呼ぶ。トキに『鳥取の布団』を教えてくれた人で、元夫であることをヘブンは察したが、銀二郎は「布団って言われたんだけど?」と怪訝(けげん)そうだ。
ヘブン的には「シジミさん」と同じような、自分にとって最適な認識を言語化しただけなのだろうけれど、「シジミ」も「布団」も人間に使用するには適していない。
「布団って言われたんだけど?」と銀二郎から聞かれてもトキは聞いていない。「しっくりきちょるー」とヘブンとイライザが並んだ姿を褒めているようで、敗北感を覚えているようにも見える。
ヘブンはヘブンで、元夫とトキがしっくりきて(お似合いに)見えただろう。ヘブンとトキは離れて見つめ合って「ははは」と空笑いする。気まずい。
「では、いったん紹介し合いましょう」と錦織が微妙な空気をかき消そうとする。
「松野銀二郎」と銀二郎は松野姓を名乗る。ますますヘブンは身構える。
銀二郎が握手しようとするが、ヘブンは固まっていて、察したイライザが代わりに手を出した。イライザは、ヘブンが人見知りと思って助け舟を出したのかもしれないが、ヘブンはたぶん、「元夫」ということにわだかまりを覚えているような気がする。
明らかに不穏な空気が漂うなか、主題歌に入る。







