トランプ米大統領と習国家主席トランプ米大統領(左)と習国家主席(6月) Photo:Reuters

 米中両国の交渉担当者らは今週、貿易合意を目指した交渉を上海で再開する。しかし、今春の時点では手が届きそうに見えた包括的な合意への期待はかなり低い。

 交渉状況をよく知る人々によれば、5月初めの交渉決裂の要因となった幾つかの点については、大きな進展は望めそうにない。しかし、控えめな成果は達成できるかもしれないという。

 ドナルド・トランプ米大統領も、交渉の大幅な進展の可能性については控えめな見方を示している。トランプ氏は26日、「合意が達成されるかどうか、私には分からない。合意するかもしれないし、しないかもしれない」と語った。

 関係者は合意があるかもしれない分野として、中国による米国産農産物の購入拡大、そして米企業による華為技術(ファーウェイ)への部品売却禁止措置の緩和を挙げる。ファーウェイに関する緩和措置については、トランプ大統領はすでに漠然とした表現ながら実行を約束している。

 米中交渉を見守ってきた関係者らは、ファーウェイ問題と米国産農産物の輸入に関する小さな前進が、上海に続きワシントンで開催予定の協議での大きな合意に道を開く可能性はあると語る。

 ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とスティーブン・ムニューシン米財務長官は30日に上海入りし、中国側の交渉責任者である劉鶴副首相と会談する。上海での今回の交渉は、中国側の要請によるものだ。

 ファーウェイや農産品購入の問題で双方が講じている措置は限定的であり、これらを超える交渉は依然として難しい可能性がある。ライトハイザー氏の下でUSTRの法律顧問を務めていたスティーブン・ボーン氏は「ファーウェイのような問題で何が起きるかにかかわらず、中国の市場をゆがめる慣行をやめさせるため、トランプ政権が構造的変化を実現することに重きを置いているのは明らかだ」と指摘。「重要なことは、中国にそのような変化をもたらす心構えができているか否かだ」と述べた。