◆言葉より心を動かすマネジメント術
部下が動かない、Z世代との距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンク「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵 著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』だ。生身のリーダーに求められる最強の武器は、生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。同書をベースに、表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウを紹介しよう。

「良かれと思った褒め言葉」で部下を潰すざんねんな上司に足りない4タイプの見極めかたPhoto: Adobe Stock

戦略的な関係構築へ導く「ききスタ™」モデル

部下のペースや姿勢に合わせる「非言語的(ノンバーバル)」なスキルの重要性はお伝えしてきましたが、今回はそこからもう一歩踏み込んだ関係構築法をご紹介します。

それが「ききスタ™」モデルというものです。ビジネスの意思決定や部下育成など、より戦略的なコミュニケーションが求められる場面で活用できる強力なマネジメント手法となります。

非言語のサインから相手を4タイプに分類

このモデルでは、相手の話すスピードや表情、身振り手振り、しぐさ、目線といった非言語的な特徴を細かく観察します。そして、人が情報を捉える感覚タイプ(VAKモデルにおける視覚や体感覚)に、「感情優位(F)」か「ロジック優位(L)」かという判断軸を加え、相手を4つのタイプに分類します。

この仕組みを知っておくと、相手の呼吸やリズムに適確に合わせた“ノンバーバルな共鳴”が格段にしやすくなります。

タイプ別:心に響く伝え方と褒め方のコツ

相手のタイプに応じてアプローチを変えることで、より深い共感と強固な信頼関係の構築が可能になります。

エナジャイザー(周囲を元気にする人)

特徴: 表情豊かでジェスチャーが大きく、やや早口な感情優位タイプ。
接し方: 自由にたっぷり話せる時間を持たせるのが有効です。「周りを自然と巻き込めるね」など、エネルギーを承認する言葉が響きます。

サポーター(喜んで手伝う人)

特徴: ややゆっくり話し、気持ちが顔に出やすい温和な感情優位タイプ。
接し方: 気持ちに応えるような、温かみのある伝え方を意識しましょう。「気にかけてくれてうれしい」と感謝を伝えるのが関係構築の鍵です。

スターター(即断即決する人)

特徴: 比較的無表情で話すスピードが速い、結果重視のロジック優位タイプ。
接し方: 端的に結論から話し、具体的なアクションを含めるのが鉄則です。「具体的な成果が出ているね」と事実と結果を褒めると信頼されます。

エクスプローラー(核心をおさえる人)

特徴: ジェスチャーが少なくゆっくり話す、着実なロジック優位タイプ。
接し方: 時系列に沿った、筋の通った論理的な説明を好みます。「丁寧な対応をしてくれて助かったよ」と、着実なプロセスをしっかり評価しましょう。

観察から始まるマネジメントの進化

あなたの部下はどのタイプに当てはまるでしょうか? 日常のちょっとしたしぐさや目線の動きを観察し、相手のタイプに合わせて話し方や褒め方を変えてみてください。その細やかな調整が、部下との信頼関係をより盤石なものにしてくれるはずです。

※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)をもとに作成しました。