デジカメのテコ入れに向け、キヤノンも手をこまねいているわけではない。18年秋以降に相次いで市場投入したフルサイズミラーレスの新製品効果を高めるため、下期に5モデルの新レンズを市場投入し、カメラ本体の売り上げの下支えを図る。

 デジカメ事業を含むイメージングシステム分野の売上高は上期までで対前年同期比18.5%減だった。通期ではなんとか同10.9%減まで持ち直す計画だ。

銀塩カメラに負けていた
デジカメ黎明期まで落ち込むペース

 最大手のキヤノンですらこの状況であり、デジカメ市場自体が岐路に立たされている。

 スマホに押されて、デジカメ市場は10年をピークに縮小の一途――。もはや定番の脅し文句に、業界関係者は「何を今更」という感覚だろう。

 だがスマホに加えて中国景気減速という新たな脅威の出現で、「このままの水準で推移すれば、19年は銀塩カメラにデジカメが負けていた時代まで戻る」と聞けば、関係者の顔は真っ青になるかもしれない。

 CIPAのデジカメ出荷数量月間推移の最新データによると、19年1~5月の出荷数量は約606万台で、対前年同期比24%減。このままのペースでいけば年間出荷数量は約1468万台で、これは銀塩カメラがデジカメに主役の座を奪われる直前の01年(銀塩カメラ2760万台、デジカメ1475万台)の水準まで縮小することを意味する。

 市場調査会社BCNの道越一郎アナリストは「さすがに底を打つのでは」と見ており、デジカメ業界の巻き返しに関し、「トレンドの芽は出て来ている」と指摘する。キーワードは、素人が付いていけないほど高級・重厚路線が進んだデジカメとは一線を画する、「安価・小型デジカメ」だ。

 例えば、キヤノンが開発中のアウトドア用小型カメラ「IVY REC」。バッグなどにクリップ風にぶら下げることができるのが特徴。悪天候などで「スマホを出すほどではない」時に、気軽に撮影でき、「いわばスマホのアンチテーゼ。保守的なキヤノンだが、止まらぬデジカメ市場縮小で遂にお尻に火が付いたのでは」と道越アナリストは言う。

 とはいえ、足下はデジカメに大逆風。大手のニコン、富士フイルムホールディングス、オリンパスなどの第1四半期決算発表はこれからだ。デジカメ事業比率、中国売上高比率が大きいメーカーを中心に、下方修正の嵐が吹き荒れるかもしれない。