2018年に民生用デジタルカメラ事業から撤退した精密大手のカシオ計算機が、今年5月から秘かに非民生用デジカメで“復活”を果たしている。背景にはデジカメ先駆者としてのプライドと勝算があった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
「確かにコンシューマー向けからは撤退したが、デジタルカメラ事業そのものから撤退したとは言っていないんだけど……」
精密大手、カシオ計算機の樫尾和宏社長は最近、そうぼやいているという。
カシオは電子技術の知見を活かし、1995年に世界初の液晶モニター付き民生用コンパクトデジタルカメラ「QV-10」を発売した。以来、コンデジの先駆者として次々とヒット製品を生み出し、ピーク時は約1400億円の売上高を誇った。
だが、競争環境の激化やスマートフォンの普及でカシオのコンデジ事業は赤字体質に陥り、18年5月、生産終了を発表した。