中国不動産業界を脅かす共産党Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米国には「連邦準備制度理事会(FRB)には逆らうな」という投資の格言がある。中国で同じように警戒すべきなのは、共産党最高指導部に逆らって投資することだ。

 共産党中央政治局が7月30日に出した最新の声明は、中国不動産のリスクにさらされた投資家への警告となるはずだ。中国経済に関する四半期レビューの中で、不動産市場を短期的な景気刺激の道具に使うべきでないと明快な言葉で強調していた。

 これは180度の方針転換ではない。不動産市場は今年、金融緩和の波をうまく捉えたが、政府は次第にこのセクターの財務状況や経済全体との関係に懸念を強めていた。ブルームバーグによると、6月には銀行が住宅ローン金利を引き下げないよう求められた。また国営メディアによると、今年に入って300社近い住宅建設会社(大半が小さな業者)が破産を申請している。2018年に比べて50%増だ。

 中国A株の上位300銘柄で構成されるCSI 300指数は31日昼時点で0.7%安だったのに対し、CSI 300不動産指数は3.1%下落した。

 中国の不動産セクターは今年勢いを増していた。FTSE指数によると同セクターのドル建て債券発行残高は今年に入って270億ドル(2兆9500億円)余り拡大。米国の金利低下に乗じる形で、資産規模を50%近く膨らませたことになる。

 中国国家発展改革委員会は7月、不動産デベロッパーのオフショア市場での債券発行要件を厳しくし、満期を迎えた中期債および長期債を借り換える場合に限ると発表した。

 不動産デベロッパーの主な懸念の1つは、地方政府がプリセール物件(完成前の先行販売)の購入を制限する見込みがあることだ。プリセールは実質的には家計からデベロッパーへの無利子融資となる。今年6月までの12カ月間にデベロッパーが売却した物件のうちプリセールが90%近くを占め、過去最高の比率だった。

 昨年9月、広東州住宅当局がプリセールの段階的廃止についてデベロッパーに意見を求めたことで、住宅開発会社の株価は急落。この販売方法への依存度がどれほど高いかを浮き彫りにした。

 もちろん、不動産セクターが景気刺激の経路になるかどうかを政府が完全に管理できるわけではない。中国はこれまで繰り返し、住宅市場経由で刺激策を浸透させてきたが、それは政府が望んだからだけでなく、中国の投資はそこに向かうのが当然だからでもある。株式市場よりも強力かつ信頼できる利益をもたらすほか、地方政府は土地売却収入に頼っている。

 だが他のセクターの例が示すように、中国政府が脅威をもたらしかねない。政府が望まないビデオゲームを作るハイテク企業であれ、政府と対立する投資家と結びつく銀行であれ、政治的な優先課題が投資家の優先課題に勝ることがある。不動産投資家はそれ以上のことを期待すべきではない。

(The Wall Street Journal/Mike Bird)