店舗数を、半分に絞る

 追い込まれた私が思いついたのは、かなりドラスティックなやり方でした。

 たとえ老舗の有名時計店であっても、やる気が感じられなかったショップとは思い切って取引を中止し、販売店舗数を半分近くに縮小したのです。
  「これまでのつきあいを無視して、トップが替わった途端にそんな生意気な態度をとるのか」などと嫌みもたんまり言われましたが、肝心のウブロを売ってくれる気がないのですから仕方がありません。

 一方、少数ながら、「ウブロに力を入れてみたい」と言ってくれた店もありました。

 知名度や実績がない小さな店でも、「ぜひウブロと一緒に伸びていきたい」と、ハングリーな姿勢や熱意を見せてくれたところを、東京、大阪、福岡から1店舗ずつ選びました。そして、その3店舗に優先的に商品を供給し、限られた販促費もすべて投入したのです。

 しばらくすると、この3店舗におけるウブロの売上はぐっと伸びてきました。予算もモノも熱意も集中させていますから、当然といえば当然です。

「あそこの店では、他のブランドを押さえて、ウブロが月間売上のトップになったんだって!」

「今、ウブロっていうブランドの時計が、すごく人気みたいだよ」

 こうした噂が、業界や一部の消費者の間で囁かれるようになりました。
  そのうち、「ウブロはいい」という評判が、じわじわと広まり、最終的に5年間で、売上3倍にすることができたのです。

突破口は、他の人が考えもしないところにある

 実は、この策を実行した最初の頃は、業界内でさんざん揶揄されたものです。
  「高倉はバカだなあ。商品が売れる場所を、みすみす半分に減らしてしまうなんて!」と。

 けれども、バカと言われることこそ私の真骨頂。
  「他の人が考えもしないことに、突破口があるはず」というのが信条ですから、ライバルの真似をするなんて、もってのほか。

 そもそも、張り合えるだけの知名度もお金もありませんから、つきあいのある販売店と今ある商品という手持ちの材料で、なんとかするしかないわけです。
  業界の常識に囚われていたら、いつまでたっても無名のブランドから飛躍することはできないのです。


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