米スプリントの巨額有利子負債 
ついに切り離しへ

 孫社長にはもう一つの追い風が吹く。傘下の米携帯電話4位スプリントが同3位のTモバイルUSと合併する計画が司法省から条件付きで認められたのだ。

 スプリントは、経営陣が自ら「単独での生き残りは難しい」と当局に訴えたほど行き詰まっていたが、年内には関係当局の承認が全て下りる見込みとなった。

 これによりソフトバンクグループはスプリントの出資比率を84%から27%に引き下げて持分法適用会社にし、スプリントが抱える4.4兆円の有利子負債を切り離す。

 経営権もTモバイルに譲り渡すことで、今後は株式投資先の一つとして、エグジット(投資回収)を模索することになりそうだ。

 すでに通信子会社のソフトバンク株は昨年12月の新規上場で36%を売却して2兆6000億円を調達した。また、連結子会社だったヤフーの保有株を手放して5262億円を調達した。ヤフーはソフトバンクの子会社となり、ソフトバンクグループの孫会社となった。

 いずれもファンドの投資資金に充てられたが、保有価値が3兆円に上るスプリント株も、ビジョン・ファンド2の出資分を賄うための重要な資金源になり得る。

 26%を保有するアリババ株も大きな資金源だ。16年には一部を売却して約1兆円を調達したが、今や保有株を売らなくても、アリババ株の巨額の含み益が信用を創造し、担保として借り入れが可能だ。当面、ビジョン・ファンド2の出資資金の調達で、ソフトバンクが窮することはないだろう。

 すでに第1号ファンドの中には上場する投資先も出て、ファンドの評価益も膨らんでいる。19年3月期に、インターネット医療サービスの中国・平安健康医療科技と、血液の遺伝子検査サービスの米ガーダント・ヘルスの2社が上場。さらに、5月にはライドシェア大手の米ウーバー、6月にはビジネス対話アプリの米スラック・テクノロジーズが上場し、シェアオフィス「We Work」を運営する米ウィー・カンパニーは9月にも上場する見通しだ。

 AI時代が到来するタイミングで、20兆円もの投資資金を得た孫社長は、ビジョン・ファンドを通じて次の中核事業を見つけ出すことができるのか。