本当に必要なお金は?

 理由(1)から賃貸の場合は毎月の不足額が10万円になる、理由(2)の年金額の減少分3.5万円(長期間で徐々に7万円下がるため、ここではその半額を減少分として認識)を考慮する、理由(3)から100歳まで生きる前提に変える、の三つを考慮すると不足額は、(10万円+3.5万円)×35年×12ヵ月=5670万円と計算されます。なんと、金融庁が計算した2000万円の3倍近い数字になります。2000万円でも「不都合な真実」と言われているのに、少し前提を保守的に変えるだけで不足額が大きく増えてしまうのです。となると、問題はどのように資産を用意するか、ということだと思います。

国も資産形成をサポート

 国は、この「不都合な真実」を十分に理解しているからこそ、最近、特に老後の生活で苦労するかもしれない資産形成層に対して、つみたてNISA(少額投資優遇制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を矢継ぎ早に制定・施行しています。個人的にはこの「不都合な真実」をしっかり国民に伝えたうえで、早期に準備してもらうよう、最善の努力をすべきだと思います。

 一方、国民に伝えたとしても残念ながら行動に移す人は限られます。イギリスではNEST(国家雇用貯蓄信託)という年金制度で、行動経済学の見知からオプト・アウト(加入したくないと意思表示しない限り、自動的に加入し、自動的に掛金を払い、そして自動的にリスクをとって運用される)の仕組みを導入しています。日本においても、この様な私的年金制度を国が運営するなど、国が国民の老後の準備にもっと関与していくことが求められるのではないでしょうか。

今回の川柳
老後資金 やっぱり必要 自助努力

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。