プロジェクトが計画通りに進まず、疲弊するチームメンバー
――こうしたチームを抱えるリーダーは、予算や人員の追加が困難な状況に直面します。業務量の調整が難しい中で、費用をかけずにメンバーの活力を取り戻し、チームのパフォーマンスを向上させるためには、どうすればいいのでしょうか。
参考にしたいのが、世界中で行われた経営学、心理学、経済学等の研究成果をもとに、グロービス経営大学院の教授陣が協力して書いたチーム・ウェルビーイングの教科書。「チームリーダーにできるちょっとしたのコツ」をまとめた一冊『職場を上手にモチベートする科学的方法――無理なくやる気を引き出せる26のスキル』
今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、「セルフ・リフレクティブ・ジョブ・タイトル」の導入とその効果について解説します。

疲弊したチームPhoto: Adobe Stock

メンバーが疲れているけど、もう増やせる予算も人員もない

 全社のシステムを刷新する組織横断の特命プロジェクトのリーダーを務める山口さんは、思うように進行しないプロジェクトに頭を悩ませています。

 突発的なトラブルが続き、その対応に追われてチームメンバーも疲弊しています。しかし、すでに予算をオーバーしている状態で、すぐにチームの陣容を拡大したり、新たなリソースを投入したりすることもできません。

 チームメンバーが疲弊している場合、2つの対応が考えられます。仕事の業務量を調整するか、上司からのサポートなども含めてリソースを増やすかのどちらかです[1]。

 業務量を調整できればいちばんよいのですが、この特命プロジェクトのように、簡単に業務を減らすことが難しいときもあります。となると、残る選択枝はリソースを増やすことです。しかし、人員の追加といったお金のかかるリソースは、簡単には増やせません。

 お金をかけずに増やせるリソースが何かないものでしょうか?