投資家は貿易摩擦で板挟みになったと思っていた。だがこのところ、中国、ホワイトハウス、そして連邦準備制度理事会(FRB)が絡みあう貿易と金融政策の三つどもえに巻き込まれつつあるようだ。ドナルド・トランプ大統領は米東部時間1日午後、新たに年間3000億ドル(約32兆円)相当の中国製品に10%の関税を課す計画を前触れもなく発表し、市場に衝撃を与えた。これは、実質的に全ての中国製品を関税の対象とすることを意味する。これを受け原油価格は8%急落し、米10年債利回りはトランプ氏が大統領選で勝利を収めて以来の最低水準に落ち込んだ。今となっては、こうした動きはそれほど驚くにはあたらない。FRBが7月31日に25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定した後、トランプ氏はFRBの慎重な文言に強い不満を表明していた。どうやらトランプ氏は、貿易問題がもたらす逆風よりも、高い金利が自身の再選にとって最大の脅威になると考えているようだ。