米雇用市場の健全性を示す直近の統計に連邦準備制度理事会(FRB)当局者がどれほど安心感を見いだしても、貿易摩擦の激化を巡る懸念はなお暗い影を落としそうだ。失業率が低水準で安定しているにもかかわらずFRBが今週なぜ利下げしたのかを理解するには、ドナルド・トランプ大統領が1日に意表を突く決断を下したことを見れば事足りる。トランプ氏はまだ関税対象となっていなかった中国製品3000億ドル(約32兆円)分に10%の関税を課すと発表した。来月発動する予定の追加関税は、FRBにとって米経済の遅行指数を見て次の一手を決めるのが一層困難になるかもしれない理由を浮き彫りにしている。FRBは7月31日、指標金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ2〜2.25%のレンジとし、世界的な成長、貿易、インフレ低迷を巡る懸念をその理由に挙げた。ジェローム・パウエル議長は年内に再度利下げする可能性に含みを残した。