いかなる大統領にとっても、危機の発生は同時に機会をもたらす。5日はドナルド・トランプ米大統領にとってまさにそうだった。危機は週末の恐ろしい国内テロ行為という形でやってきた。機会とは、危険なほど怒りに満ちた世論に変化を起こし始めるためにその瞬間を使うことだった。テキサス州エルパソとオハイオ州デイトンで起きた銃乱射事件を受け、トランプ氏は国民に向けた演説でまさしくそれを試みた。あるいは少なくとも、そうすることを望んでいるかのようだった。対立を糧に躍進する大統領であることを踏まえれば特筆すべきことに、敵への対決姿勢を取ったのと同じように、味方にも挑む構えを見せたのだ。だが批判者を満足させるには全く不十分だった。批判的な向きは、トランプ氏自身が暴力行為の責任をもっと負い、銃規制を一段と強化することを望んでいる。