全般不安症(全般性不安障害)は、過剰な不安と心配が、次々に続くことが特徴です全般不安症(全般性不安障害)は、過剰な不安と心配が、次々に続くことが特徴です(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「通学途中で子どもが事故にあっていないか」「子どもが学校でいじめにあっていないか」「勉強についていけてないのでは」、さらには、「夫の顔色が悪い、体調は大丈夫か」「夫の職場の人間関係はうまくいっているか」「わが家の家計はこの先大丈夫か」……特定のことではなく、次から次へと心配が起こって、リラックスできない状態が長期間続く「全般不安症(全般性不安障害)」。このような“負の連鎖”をどのように断ち切るのか、実際の症例をもとに、「森田療法流対処法」を解説します。(談/東京慈恵会医科大学附属第三病院院長・精神医学講座教授・森田療法センター長 中村 敬、構成/慈恵大学広報推進室 高橋 誠)

止めどもなく広がる不安
30代女性会社員の悩み

 今回は、30代半ばの女性会社員の事例をご紹介します。小児期から神経質、心配性で、小学4年生まで夜泣き、夜尿が続きました。劣等感が強かった分、一生懸命に努力、勉強し、学校の成績は比較的良かったといいます。

 20歳の時、「病気がうつるのではないか」という恐怖のため精神科を1度受診したことがあります。30歳の時、隣家の新築にあたった大工さんが、やくざのような感じがして、「トラブルに巻き込まれるのではないか」という不安が続き、近隣の精神科クリニックに1年ほど通院しました。

 初診の1年前、膝の半月板を損傷し、手術を受けることになりました。手術前には、手術や麻酔に対する恐怖がつのり、他院の精神科を受診しました。抗不安薬を服用してどうにか手術を終えたものの、「再発し、また手術を受けることになったらどうしよう」という不安が去りませんでした。これをきっかけに、さらにさまざまなことに不安が広がり、森田療法の本を読んだことから、中村敬先生にご相談しました。