「いつも会っている営業の人の方が話しやすいから」と言うのだが、相手が得意先だけに営業マンは過剰反応する。一文の差し替えで済むことが大問題化され、「君が悪くないことは分かっているけど、形式的で構わないから始末書を提出してくれないか」と上司から頼まれることが増えていた。

 こちらのスタッフがしょっちゅう入れ替わっているのもよくないのだろう。得意先との人間関係が築けない。業界的なことを理解していなければ引き出せないコメントや、気が付かないこともある。現場で、それらが分かっているのは有里子さんだけだが、とてもじゃないが教えきれないし、フォローも難しい。

「私たち同士よね。一緒にがんばろう。いい仕事をしていれば、会社も得意先も変わるから」と懸命に励ましても「このままではご迷惑をかけてしまいます。それに仕事が覚えられないので、やっていてもただ振り回されているだけのようで、充実感がないんです」

 そう言い残し、みんな去っていった。社長に、根本的な改革の必要性を訴えても、「そのうちなんとかするから」の一点張り。有里子さんは激しいストレスを感じ、体力的にも精神的にも追い詰められていた。

心的ストレスの臭いは
腐った玉ねぎ、疲労はおしっこ

 緊張によるストレス状態にあると、人間の体からは硫黄化合物のような特有の臭いがするガスが発生することが分かっている。

 2018年5月に開催された第36回日本生理心理学会において、大手化粧品メーカーの資生堂が発表したもので、ガスの主成分はジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide;DMTS)とアリルメルカプタン(allyl mercaptan;AM)。同社ではこの2成分を「STチオジメタン」と名付けた。

 硫黄化合物は“玉ねぎを腐らせたような臭い”がするらしい。これはなかなか強烈だ。