その最たるものが「大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件」であり、読者の方々もご記憶と思う。自らの出世のため、無実の方を犯罪人に仕立てようとした事件だ。

 少なからず検察官と付き合いのあった筆者には、背筋の凍るような思いをした事件だった。「秋霜烈日」(秋霜は秋の冷たい霜。烈日は夏の激しい日差し。そんな環境でも、国民のために頑張るという検察官のシンボルとされ、バッジに型取られる)はどこに行った、と嘆いた。

 筆者の後輩である全国紙社会部デスクによると、大阪特捜の小橋常和部長は「起訴に足りる証拠を収集できなかった」と説明したという。

 これは、詭弁(きべん)である。はなから収集しようとしていたのかさえも疑わしいが「確実に有罪にできる証拠を収集できなかった」が事実であろう。

 ここで、問題は一体どこにあったのか、簡単におさらいしておこう。

 2017年2月、森友学園が取得した大阪府豊中市の国有地が、約8億円値引きされていたことが発覚。そして、学園が建設を計画していた小学校の名誉校長に、安倍晋三首相の妻・昭恵夫人が就任していたことも明らかになった。

 これまで提出されていた告発状によると、2017年2月~4月、佐川氏らは権限がないにもかかわらず、14件の決裁文書で明恵夫人の名前や「特例的な内容」などとする記述をすべて削除。「夫人の関与が明らかになれば安倍首相の辞任に発展しかねないと考え、事実を隠蔽しようとした」とされる。

 検審の議決も佐川氏に関し「『指示していない』との本人供述に信用性はない」と一蹴。さらに「文書を改ざんする行為は一般市民感覚からすると、いかなる理由があっても許されない」と厳しく指摘した。

 問題が発覚してから約2年半。政権支持の方であったとしても、一連の事実が明るみに出るにつれて「忖度(そんたく)があったのでは?」と疑問を持たれたのではないだろうか。

特捜にもはや存在意義なし

 一連の問題を提起したのは1人の市議だった。

 問題の現場となった国有地は、豊中市が国から借り受け、公園として整備する計画だったが、買い取りを求められて断念していた。

 その後、同市の木村真市議が現地を視察。「瑞穂の國記念小學院」と旧字体で記された幕、教育勅語を掲載したポスターを目にした。

 何か不審な雰囲気を感じ取った木村市議は、近畿財務局に貸付金額を問い合わせたが「言えない」に終始。その後、売却されたと知り、価格を情報公開請求したが、内容は黒く塗りつぶされていた。