今回のケースは労災扱いになるのか?
D社労士の回答は…

 翌日、C部長は来社したD社労士にAの仕事内容について書かれたメモを渡して説明し、ケガをした経緯と治療費について相談した。

<Aと乙社で交わした勤務内容>
・勤務希望日の3日前までに電話すると、後日、顧客の紹介が受けられた。
・仕事内容は、乙社ではなく顧客から直接指示を受けていた。
・訪問時間の指定はあったが、作業が終了すれば直接帰宅することは可能だった。
・Aは作業に必要な家庭用草刈り機や鎌等の道具を自費で購入。交通費も自費だった。
・報酬は1回につき8000円で、作業終了後、顧客から直接代金を受け取っていた。
(乙社はあくまでも顧客サービスの一環でAを紹介していたので、自社の儲けはなくてもいいとの考えだった)

「Aさんの件ですが、乙社の労災は適用にならないんでしょうか?」

 メモを読み終えたD社労士は、回答する。

「Aさんは乙社の労働者とはいえないようですね」

「では、副業先の労働者かそうでないかは、どこで判断するのですか?」

 D社労士は、判断基準について資料を見せながら説明した。

<労働者(雇用契約)か否かの主な判断基準>
・自分で仕事をする日を自由に選ぶことができるか、否か。
・業務の遂行について、会社が具体的に指示や命令をしているか、否か。
・勤務時間が会社に管理されているか、否か。
・報酬が時間を基にして決められているか、否か。
・他社の業務にも従事しているか、否か。
・仕事に使う器具等は会社で用意しているか、否か。

「すると、この基準とAさんの乙社での勤務条件を照らし合わせてみればいいんですね」
「そうです。『否』が多いほど、労働者扱いにならない可能性が高くなります」

 さらにC部長はD社労士に治療費のことも尋ねた。

「乙社の労災が適用されないなら、治療費は100%、Aさんの自己負担になりますか?」
「いいえ、労災が適用されないため健康保険が使えますよ」
「わかりました。実はもう1つ副業の件で相談したいことがあります」

 C部長は続けた。

「副業を許可するにあたって、今後どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?」
「副業先との契約内容の確認を徹底するとともに、副業を許可した後も、勤務時間や健康状態等、逐次現状を把握する必要がありますね。Aさんがケガをした時、当初申告してきた3日よりも多く働いていましたからね。他にも改善策を一緒に考えていきましょう」
「わかりました」