フラワーズ氏は近年、保有する新生銀の株式を手放す意向を示していたとされる。売り先としていくつかの投資ファンドとの交渉に入っていたが、有力候補だった「台湾の大手銀行との交渉が破談になった」(新生銀関係者)。これを機に、今回の売り出しに至ったようだ。

 ただ、20日に決定した売却価格が1株1387円だった一方、ある市場関係者は「フラワーズ氏の出口戦略として1株3000円ぐらいが妥当だったはずだ」と分析する。

 異次元金融緩和がもたらした今の低金利環境では、これ以上の株価上昇は見込めない――。フラワーズ氏の“安売り”は、新生銀に対して三下り半を突きつけたように映る。

繰り上げ筆頭株主化に焦る金融庁

 「私たちも大変な立場になるだろう」――。銀行の監督官庁である金融庁のある幹部は、今回のフラワーズ氏の離脱を受けて危機感を募らせた。

 なぜか。フラワーズ氏の関連ファンドが筆頭株主から外れた後は、預金保険機構などで約18%の株式を保有する政府が筆頭株主に繰り上がるからだ。

 新生銀は、国から注入された公的資金を返済できていない唯一の大手銀行だ。注入された公的資金は普通株式に転換されていて、完済には株価が1株7400円まで上昇することが必須だ。とはいえ、現状の株価を見ると、返済を早期に実現することは厳しいといわざるを得ない。

 新生銀はATMの手数料無料化や消費者ローンなど、先進的なリテール(個人向け)事業の取り組みに注力してきた。こうしたノウハウを持ち、さらには都内での顧客基盤を持つ新生銀に対して、主要株主のフラワーズ氏が抜けたこのタイミングで、地方銀行や他の金融機関が資本面を含めた提携に関心を寄せる可能性は残されている。

 今後は、こうしたビジネスモデルの在り方やパートナー探し、そして経営体制の良し悪しという経営課題に関して、筆頭株主が政府のままであれば、金融庁が「正面から問われる」(前出の金融庁幹部)ことになるというわけだ。

 フラワーズ氏と決別したとはいえ、新生銀にとっては、もう一つの大きな“足かせ”である公的資金の返済が残されている。

 そのためにも、「今の金融界において、存在意義のある金融機関としてのビジネスを展開できるかどうかが重要だ」(別の金融庁幹部)といえる。