【現代の知の巨人・出口治明
大阪・梅田講演会ダイジェスト2】
なぜ、20世紀の哲学者を
「5人」に絞ったのか？
哲学と宗教とはどんな学問か？

世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU（立命館アジア太平洋大学）学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著がついに8月8日にリリースされた。聞けば、BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ＝ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説したとか。
なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか？
脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、原稿を読んだ某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』が発売たちまち大きな重版が決まり、昨日、日経新聞にも大きく掲載された。
8月10日、大阪・梅田に131名が集結。満員御礼で開催された出版記念講演会の模様をお届けする2回目。今回はどんな話が出てくるか。早速お届けしよう。

20世紀の哲学者を
5人に絞った理由

　前回、講演会の初回をお送りしました。今回はその続きです。

　連合王国の哲学者、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド（1861-1947）が「西洋のすべての哲学は、プラトン哲学への脚注にすぎない」という有名な言葉を残しています。

　人間が考えることは、ソクラテスやプラトンの時代からあまり変わっていないのです。

　20世紀にはものすごくたくさんの哲学者が登場しています。

　一人ひとりは個性的でユニークなのですが、20世紀の哲学者を書こうと思ったら、30人くらい挙げないと、どんな人がいたのかわからないので、本格的に20世紀の哲学者を語るのであれば30人分を書くしかない。

　でも、そうしたらものすごく分厚い本になるし、読みにくくなるので、今回の『哲学と宗教全史』では、おもいきって、20世紀は「5人」に絞りました。

　昔から人間が考えてきたことは、そんなに変わらない。古くから人間が考えてきたことにほとんどすべての原型がある。

　だから、この本では、古代ギリシャから長い時間をかけて考えられてきたことを丁寧に書くようにして、あえて20世紀は相対的にコンパクトな構成にしたのです。

　むしろ、枝葉の細かいことより、太い幹の流れをきちんと書いていこうと。

　皆さんの中には、僕が書き疲れて20世紀を飛ばしているのでは？　と思われるかもしれませんが（その要素も100％ないわけではないと思いますが）、自分なりに枝葉と幹の強弱の構成を考えて書いたつもりです。