
「ダイヤモンドZAi NISA投信グランプリ2026」の「世界株部門」で最優秀賞(テーマ)を獲得した「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」。成績は優秀で、とりわけ直近3年は目覚ましい。米国を拠点に宇宙産業の分析を続けてきた運用担当者に、好調の要因と今後の見通しを聞いた。(河野拓郎、ダイヤモンド・ザイ編集部)
宇宙関連の大手をファンドの土台にして
新興テクノロジー株を成長のエンジンに
――宇宙関連株がテーマの投資信託はいくつかありますが、その中でも安定して好成績を上げています。同種の他の投資信託との違いは何でしょうか。
Raymond Cunha(レイモンド・クーニャ)さん●米国の資産運用会社、ヴォヤ・インベストメント・マネジメントで「東京海上・宇宙関連株式ファンド」の運用担当者を務める。同社のグローバル・スペースチーム リード・ポートフォリオ・マネージャー。業界経験は33年、航空宇宙・防衛企業のリサーチは25年に及ぶ。アナリストとしてのキャリアに加え、米国株式クオンツ運用の経験を持ち、米国中小型株式の運用も担当。
クーニャ 4割程度を伝統的な宇宙関連の銘柄、6割程度を新興テクノロジー関連の銘柄とし、バランスよく投資していることが特徴だと思います。
競合他社の投資信託には、中小型株が中心のものや、あるいは銘柄数をかなり絞り込んでいるものもありますが、投機的になることは避けたかったのです。そのため約4割を高い利益率と業績の予測可能性の高さ、強い財務を持つ、伝統型の大手企業で固めました。これらが、宇宙産業への関心がまだ広まっていなかった設定後の最初の5年間で支えてくれました。
一方で、残りの6割はこの投資信託の将来を担う部分です。この3年くらいで、宇宙の商業化、つまり宇宙産業における収益化が本格的に加速しました。革新的な技術や新しいビジネス領域が生まれ、それらの分野にいち早く注目して投資したことが、好成績の要因になっています。
――銘柄はどんな基準で選定しているのですか。
クーニャ 伝統的な宇宙関連でも新興テクノロジー関連でも、必ず見るのは技術的な優位性があるかです。それが参入障壁につながるからです。
新興テクノロジー関連では、まず、重要な成長領域を探します。例えば、AI、衛星通信、データ通信といった分野です。そこから、例えば「D2D」(Direct to Device、スマートフォンが人工衛星と直接通信する技術)といった、投資したい新技術や成長領域を特定します。次に、より優れた技術と経営陣を持ち、株価水準でもより魅力的な企業に絞り込みます。まだ若い産業なのでプレーヤーが1社か2社しかいない場合もありますが。
もちろん、財務や業績、受注の状況なども重視します。これらの改善や成長が続くことが重要です。ただし、まだ赤字でも優れた技術を持ち収益化への道筋が見える企業であれば、組み入れることもあります。同時に、宇宙経済の向かう先を見極めて多様化を図り、リスクを取りすぎないようにしています。
――売却や銘柄の入替のルールは?
クーニャ 短期で売って買ってといった回転売買は原則しません。長期的な成長が重要ですので、例えば1回の四半期決算が失望の結果になったからといって売るのではなく、数年後にどういった絵が描けるのかで判断します。一方で、成長のストーリーが崩れ、業績や財務にも影響するような場合は、全部または一部を売却します。
宇宙関連ならではと言えるのが、政府や関連機関と長期で結んでいた契約が、急に解消になったときですね。これは宇宙関連の企業にとってはかなり致命的ですので、全売却のトリガーになります。また、現在の組入銘柄でそのような事態は起きていませんが、ロケットの打ち上げを手掛ける企業が何度も失敗するような場合は、実行力に疑問符が付き全売却になり得ます。
株価があまりに割高になって、一部売却というケースもあります。競争環境も非常に重要です。実際に、競合他社にシェアを奪われた企業を、奪った企業と入れ替えた例もあります。






