リクナビの「内定辞退率予測」問題から考える個人データ利用の未来就活生の内定辞退率予測データの販売問題で謝罪する、リクルートキャリアの小林大三社長(左) Photo:JIJI

学生側を向いていないリクルートキャリア

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアに対して、就職活動に臨む学生の同意を得ずに「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で、政府の個人情報保護委員会は8月26日に是正を求める勧告を出した。同委員会が勧告を出すのはこれが初めてだ。

 本問題に対するリクルートキャリアの対応は遅く、また不十分であるように思われる。リクルート・グループには世間の評判に対して敏感であるようなイメージがあるが、リクルートキャリアの本問題に対する反応は意外かつ異様だ。社長の小林大三氏が初めて記者会見を行ったのは問題が発覚してから3週間以上も経過してからであるし、同社は、いまだにデータを販売した企業名を公表していない。

 「内定辞退率予測」は、採用活動に明らかに影響するデータだ。そもそも採用行動に何の影響もないデータを、企業が400万~500万円と報じられている価格を支払って購入するはずがない。