大切なのは「実利」か「順番と建前」か
日本人と中国人の常識はこんなに違う

 3つ目に言いたいことは、日中の文化の違いだ。中国は、順番や建前よりも「全体の利益」を優先する国民性である。

 前述した、弊社の支払いを免除してくれたケースも、契約書という「ルール」にのっとることよりも、全体の利益を考えてくれた結果だ。

 紳士的な中国人たちとたくさんの仕事をともにしてきた我々からすると、これはある意味で分かりやすく合理的だと感じる一方、とても誤解されやすいことだなと思う。我々日本人は彼らとは逆で、順番と建前を気にするあまり、正しいと思うことを簡単に実行できない。

 例えば最近、ある有名な日本のアニメ映画を中国で上映する予定だったが、公開1週間前に突然、上映が中止され、日程が変更された。しかも、中国側が独断で決めてしまっていて、我々には事後連絡しかなかった。「順番と建前」を重んじる我々からすれば当然、事前の連絡と承諾が必要である。私も腹が立った。

 しかし、じっくり話を聞いて分析すると、彼らの判断は確かに正しい。今、中国で大ヒットしている中国製CGアニメの影響などを考慮しての決断だったのだ。担当者は言った。「日本側との関係もふまえて、どうしてもこのプロジェクトを成功させたい。即断即決が必要だった」と。

 自分たちの利益のことももちろんあるが、映画が成功すれば日本側にもお金が入ることになる。だからこそ、上映延期が正しいことだと思って実行したのだ。順番や建前よりも実利を優先する、中国人らしい発想である。

 我々からすると、いくら正しい決断であっても、まずは日本側に承諾をとってほしいと思う。しかし、中国人は悪いことをしたという認識はない。「順番と建前」にこだわって決断が遅れれば、利益を損なってしまうからだ。これをもって中国人は悪いと言っていては、本当の中国人を見誤るし、中国人と長期的なビジネスはできない。