鳴り物入りで始まった7payが、粗末なセキュリティ問題で挫折してしまった。不正利用問題が発見された直後の7月4日、株式会社セブン・ペイが開いた記者会見では、事業責任者でもある同社の小林強社長が記者との質疑応答の中で話した内容から、信じられない問題が露呈した。

「他のサービスでは二段階認証が導入されている例がほとんどだが、7payで導入されていなかった理由はなぜか?」との記者の質問に、小林社長は「二段階認証……?」とつぶやき、首をかしげてみせたのである。

 あるメディア関係者は、「この様子に、多くの記者や関係者は度肝を抜かれた」と報じた。電子決済のようなサービスを運営する企業の責任者が、厳重なアカウント管理が必要な二段階認証という概念自体を知らなかった。そんなことは本来、あり得ない事態なのに、日本を代表する企業グループでいとも簡単に発生してしまったのである。

日本企業が意識すべき
「技術と経営」の重要性

 そして、そのメディア関係者はさらに次のように切り込んだ。

「そこには、単に一企業の問題にとどまらない、『技術と経営』に関する普遍的な課題が隠れている。あらゆる企業の経営者にとって、そしてそこに勤めるビジネスマンにとっても、決して一過性のトラブルとして済ませるわけにはいかない」

 まさにその通りだ。長らく日本企業は、ビジネス活動を進めるなかで、インターネット的視点の重要性を認識してこなかったのだ。中国などの諸外国と比べて、その「周回遅れ現象」をどう解消すべきか、これは日本企業が直面している、大きな課題の1つと見ていいだろう。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)