おそらく、投資家が今直面している最大の疑問は、ここにきて中国からドイツ、米国に広がりつつある工業部門の下降トレンドに、消費支出も追随するかどうかという点だ。今のところ、株式アナリストの悲観論と、企業利益を押し上げている米消費者の支出意欲が綱引きを繰り広げている。現在の景気低迷は2015~16年の景気減速と原因は似ているが、展開はかなり異なっている。中国の構造的な問題が製造業を苦境に追い込んでいるのは、当時も今も変わらない。今回の景気悪化局面では重工業がより大きな打撃を受けている。その原因は米中の関税合戦が引き起こした混乱と、自動車業界に対する排ガス規制の強化にある。とりわけドイツ経済のぜい弱性が鮮明になった。