「厄年なんて迷信だろ」と笑う人が知らない事実大厄は前厄・本厄・後厄と前後三年間続くといわれ、厄年を迎えると、年のはじめに親類や近隣者を招いて年祝いをし、神社や寺院にお参りして厄祓いをする風習が各地で見られる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

迷信といわれながらも、現代でも1年の節目である年始には、多くの人が「厄祓い」に神社を訪れます。なぜ日本は古来から「厄」を重視してきたのでしょうか? 『神様に願いを叶えてもらう! 厄除け・厄祓い大事典』(青春出版社刊)から、日本人なら知っておきたい「厄」についての常識を紹介します。

そもそも「厄」とは何か

「厄祓い」「厄除け」の風習はいまも各地で盛んに見られます。この厄除けの「厄」とはいったいなんでしょうか?

 はじめから私事で恐縮ですが、私は六七歳のとき、スキルス性胃がんが発見され、医師から「末期がんで余命は三カ月」との宣告を受けました。おだやかに暮らしていたのに、ある日突然不幸が訪れたのです。このような経験は、私だけでなく、世の中に一般的なことです。先日も友人が「自分は健康だと思っていたが『がん』といわれたので入院することになった」と知らせてきました。

 このように、「健全な『いのち』をそこなう原因となるようなもの」を一般に「厄」といっています。国語辞典にも「厄」とは「わざわい。まがごと。災難。災厄。厄難。」などと説明してあります。

「厄」という言葉でもっとも身近にあるのが「厄年」でしょう。たとえば、数え年で四二歳になると、家族や仲間から「あなたは『厄年』だから、厄祓いに行かないといけないね」などといわれることがあります。

 ところで、現在の日本では一般的に満年齢が用いられています。満年齢とは、生まれた日を〇歳とし、それ以降は誕生日ごとに年齢を重ねていく数え方です。一方、数え年は生まれた年を一歳とし、それ以降は毎年元旦を迎えるごとに一歳を加えていく数え方であり、神社では厄祓い、厄除け、七五三詣などにおいて、数え年を用いています。