米中対立も深刻だが
日本が直視すべき大問題

――今、企業経営者やビジネスに関わる人が考えるべきことは何でしょうか。

 まず経営のリスク分散が従来以上に重要になります。中国以外でどれだけ生産していくかといったことです。それから安全保障のような問題が降って湧いてくる可能性がある。そういう分野への感度が大事です。

 ただ日本経済にとっては、世界経済の動きや米中関係もさることながら、実はもっと重要なことがあります。それは高度経済成長期からバブル崩壊、その後まで続けてきた仕組みが、もう機能しなくなっているということです。とりあえずデフレから脱却するために金融緩和をやり、おかげでGDP(国内総生産)は名目上増えました。にもかかわらず、実体の経済は思うようにいかない。デフレという厳しい条件がなくなった後に、もっと深いものが見えてきたわけです。日本の企業がもっと積極的に新しいことに投資するべきなのに、人もお金も抱え込んじゃっている。ベンチャー企業もなかなか伸びない。労働市場も時代に合わなくなってきている。こういう点では、日本経済は総決算の時代なのです。

 政府ができることは改革だけ。最後は企業が行動するかどうかに懸かっています。企業がもっと積極的に投資するか、優秀な人材にお金を使うか、ビジネス革新に取り組むか。日本経済の重要なところはこっちです。

――そういったことの結果として、グローバル経済の中で優位性を得られる可能性がある。

 そう言えます。グローバル化によって日本の企業を強くしようというのは、本末転倒なのです。日本経済の問題を改革し、結果的にそれがうまく進めば、日本経済はグローバル化を利用して再成長できる。これが正しい道筋です。