三菱のSUVが今でも「走破性」を重視する理由

三菱が常に大事にしてきたオフロードに強いという武器

 先日、ジープはなぜスゴイのかをこのMEN'S EX ONLINEで語ったが(関連記事を参照)、「三菱のSUVだってスゴイ」ということも伝えておきたい。正しくは「ぜひ知っておいてもらいたい」という感じだろうか。ここでいう「スゴイ」は、「オフロード走破性が高い」という意味だ。ではこの2社に共通点はあるのだろうか。実はあるのだ。

 両ブランドには、ジープ(ブランドではなく車種)に共通点がある。朝鮮戦争のころ、戦場に近い日本で組み立てを行うことでコストを抑えられるという目的から、三菱がジープを国内でノックダウン生産していたことがあったのだ。

 やがてライセンス生産へと切り替わり三菱オリジナルのジープが生産されるようになると自衛隊にも納入され、民生用としては軍用直系ともいえるショートホイールベースかつオープンといったモデルのほか、ロングボディによるワゴンタイプなど、日本独自の進化を果たしていった。しかし、時代とともに厳しくなっていった衝突安全性能、排出ガス性能に対応することが難しくなり、2001年に生産を終了。いうまでもなく、その思想が現在の三菱のSUVに引き継がれている。

 最近ではSUVとて快適性やスポーツ性能ばかりが重視され、走破性は不要といわんばかりのモデルが増殖しているが、三菱がSUVを語るには走破性は不可欠とのスタンスを取るのは、ジープを生産していたメーカーだからなのである。

 ミニバンである「デリカ D:5」が実はオフロードも走れる…そこにはそういう理由があるのだ。新型デリカ D:5、そしてディーゼルエンジンを搭載したエクリプス クロスでオフロードを走る機会を得たが、改めてその事実を再認識させられた。

 この2台は乗用車であり、ヘビーデューティモデルではないため、オフロードにある障害物にダイレクトにアプローチすることはそもそもご法度。障害物に対して斜めにアプローチするといった、ボディではなくタイヤを先に当てるような、またフロア下を擦らないようなライン取りをすることが必要となる。

 しかし、そうすることで意外なまでにボディをヒットさせることなく障害物をクリアしていく。SUVのオフロード走破性の指標として最低地上高や対地障害角といった数値が用いられるが、先に述べた、三菱SUVのオフロード性能はそういった数値では表現できない真の走破性がデザインされている。