カイカケキンって、何だか分かる?

 川上は両手を広げて肩をすくめて、分からないというポーズをとった。

 「さなえ。勘定科目を羅列しているだけじゃない? それじゃあ、会計の初心者にはぜんぜん分からないよ。もっと自分の言葉で説明してみて」

 「たしかに、そうですね。分かりました。資産は私たちが日常的に使っている資産と同じ意味で、会社が持っている財産のことで会社の持ち物です。現金や在庫、工場の機械などです。負債は、借入金とか買掛金とか会社の債務です」

 「待って。カイカケキンって言われて、みんなは何だか分かるかな?」

 川上は首を右に傾けながら、早苗にカイカケキンの説明を求めた。

 「はっ、はい。買掛金は、仕入先に対するツケです。材料を仕入れてきた日にお金は払っていません。仕入先と事前に支払い条件の約束をしていて、後日払います」

 「うん、いいね。じゃあ純資産は?」

 「純資産は、株主から預かった資本金と、今までの儲けである剰余金で、株主の持ち分です。でも、説明するのが難しそうですね」

 早苗自身、純資産の概念について、まだ腑に落ちていない。

 「純資産は資産から負債を引いた差額の概念だ。身近な具体例を使おう」