国内では年間450大会
海外は23ヵ国に輸出
マラソン、トライアスロン、自転車競技など世界中で多くの大会が開催されている。こうした競技大会を陰で支え、運営に不可欠なのが正確なタイムを計るスポーツ計測システムである。
マイクロ・トーク・システムズ(以下、MTS社)は、この分野で世界的なメーカーである。同社の開発した「J-chipシステム」は、精度の高いタイムを求められる競技に強く、世界23ヵ国に輸出されている。
日本企業では初めて、世界トライアスロン協会から標準タイム計測仕様として認定され、トライアスロン大会ではほぼ100%使用されている。また、時速70キロにも達する自転車競技や、山野を駆け抜けるトレイルランでもほぼJ-chipが使われる。
国内ではマラソンをはじめ年間450大会、国際的には世界陸上の競歩とマラソン、世界ハーフマラソンなどにも使われる。ただし、オリンピックはオメガが公式タイムキーパーをほぼ独占しており、同じEU内ということで、スポーツ計測システムもドイツ系メーカーのシステムが採用されている。
MTS社の橋本純一郎社長(68歳)は「国内では最近、トレイルランや自転車レースなど新しいユーザーが増えてきました。海外ではハンガリーやポーランドなど東ヨーロッパに広がっています」と語る。
J-chipはRFID(非接触ICタグ)を使って、スタート、中間、フィニッシュのタイムを100分の1秒の精度で計測する。タイムを取得できないミス率は0.01%以下、つまり1万人に1人以下である。
J-chipシステムは、身につけるICタグ(サイズは約4×3センチほどで厚さ8ミリ以下)と、タグが発信した信号を記録する受信機、タグに電波を発信させる磁場(トリガー)を発生させるマットアンテナなどから構成される。
タグは通常、胸のゼッケン裏側に取付ける。陸上競技では胸がゴールラインを通過したときが正式タイムとなり、これをトルソー(胴体=胸)と呼び、J-chipはトルソーでの自動計測を世界で初めて実現した。