問題は、同じように不便さを感じる団塊の世代が世の中で増えているため、彼らが若いころに人気があった郊外の一軒家の市場価値が下がっていることです。たまたま同じ世代で同じ予算だったとしても、狭くてもターミナル駅に近いところにマンションを買った人の方が「勝ち組」になるという、逆転現象が起きています。

 では、どうしたらいいのでしょうか。経済は需給で決まるという考えから予測すれば、前述のケースに当てはまる人は少しでも早く郊外の一軒家を手放すことが、経済学的には正しいと思えます。これから先、10年くらいかけてゆっくりと日本の高齢化は進行します。同じように郊外の家を手放したいという高齢者が増加すれば増加するほど、一軒家の市場価格は下がります。まず、こういう問題が起きているのです。

高齢化で行き場がなくなり
家賃未払いを続ける居住者たち

 2つ目は、借家生活のまま高齢化した人の行き場がなくなる問題です。先ほどの例でいえば、貸借人の側の問題となります。家を持たずに賃貸マンションに住み続けていた人が、ある日病気を患って入院し、銀行預金が入院代に消えてしまい、退院後の生活が成り立たず、家賃が払えなくなってしまった、というケースを考えてみましょう。これは70代に入って持ち家がない人にとっては、起こり得るリスクです。もしも自分がそうなったら、どうすればいいのでしょうか。

 実は、友人が遭遇した前述のトラブルの際に、弁護士が興味深い考察をしていたそうです。結論から言えば、このような場合、居住者側はまずその物件に居座ることが重要になるそうです。このような場合、「お金を持たない人はある意味最強の立場になり得る」のだそうです。法律で強制的に立ち退かせることができないからです。

「その上で居住者は、ちゃんと生活保護を申請しましょう」というのがこのケースに関する具体的なアドバイスです。もし大家からの督促に耐えかねて先に物件を出てしまうと、ホームレスになってしまう。だから順序としては、居座って、生活保護が受けられるようになってから、次の物件を探すのがいいわけです。生活保護は日本社会の公的なセーフティーネットなので、切羽詰まったならば堂々とその制度を使えばいいということでした。