社会的弱者を劣悪な「終の棲家」に押し込みかねない住宅政策の危機
12月17日に厚労省が開催する社会福祉住居施設に関する検討会は、近未来の日本の高齢者や社会的弱者の「住」を大きく変えてしまうかもしれない。焦点は「簡易個室」だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚労省の「目立たない」検討会が
社会的弱者の暮らしを大きく変える

 2018年12月17日、厚労省は「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援のあり方に関する検討会」の第2回を開催する予定である。この非常に長いタイトルを持ち、しかもそれほど注目されていない検討会は、近未来の日本の高齢者や社会的弱者の「住」を大きく変えてしまうかもしれない。

 日本の「健康で文化的な最低限度」の住については、すでに面積と設備が、国交省の「最低居住面積水準」に定められている。今回の検討会の成り行きによっては、国交省の定めた「最低」以下の住を、厚労省が定めて定着させることになりかねない。

「日常生活支援住居施設」を一言で言えば、「人的支援つき無料低額宿泊所」だ。無料低額宿泊所は、すでに住居を喪失していたり、あるいは住居を喪失したりしそうな生活困窮者に対して、一時的に無料または低額で住居を提供するものである。「一時的」とされているのは、生活保護の原則はあくまで居宅、地域での安定した住生活を前提にしているからだ。

 しかし、高齢・障害・犯罪歴などがネックとなって、あるいは地域の家賃相場が生活保護の想定している住居費に比べて高すぎ、実際に住むことのできるアパートを見つけられない人々も多い。日常生活に様々な支援を必要とするため、支援なしで1人暮らしを営むのは困難な人々もいる。管理スタッフのいる無料低額宿泊所は、好都合といえば好都合かもしれない。そして、「一時」のための無料低額宿泊所での暮らしが長期化し、ついにはそこが「終の住処」となることも珍しくない。

 無料低額宿泊所は生活保護法に定められているが、社会福祉に関する法律の規制対象とならない「施設」もある。簡易宿泊所(いわゆる「ドヤ」)もあれば、法的には「老人ホーム」ではない事実上の老人ホームもある。故意に法の規制を逃れている場合もあれば、あるべき居住と支援の姿を考えた結果もある。一定の防火対策が採られている場合もあれば、不備がある場合もある。まぎれもない「貧困ビジネス」もあれば、良心的な運営がされている場合もある。

 ともあれ、厚労省が提示しているスケジュールによれば、2019年4月頃までに、主に「社会福祉住居施設」の建物や住居部分のハードウェアに関する部分が決定される予定である。その大枠は、早くも12月17日に予定されている第2回で決定される可能性が高い。